キキのテーブルのブログ「4×6 -4つの目、6本の足-」

吠えない犬 エマさんの実例

1月15日に静岡のMeltin*potさんで開催した

ミニセッションの実例を、ご紹介いたします。
 

犬で多いのは、「吠え」に関してのご相談です。

それが今回のエマさん(中型Mix女子・年齢不明)は

吠えないことでのご相談というのですから、

私も驚いてしまいました。

 

「どうして吠えないのですか?何か言いたい時は

吠えてもいいんだよ」

質問事項の欄には、確かにそう書いてあります。
 

今回の実例は、幼い時に体験したことが、大人になっても

どれほど大きく影を落としているか…

人間でいうなら、幼い時に受けた、感じたトラウマが

その後の人格形成にどれほど影響を及ぼしているか…

それを、ある意味見事としか言いようがないくらい、

ハッキリと体現している、そんな事例だと思います。

 

愛するエマさんの辛い過去を、こうして公開することを

許可してくださったSさんに、まず感謝いたします。


読んでくださった方は、どうぶつの感受性の豊かさ

それゆえに深い傷を心に負ってしまうこと、
どうか知っていただきたく思います。

 

そして知ってくださった方は、回りの方に、このお話を通して

どうぶつたちの心の豊かさを、1人でも多くの方に広めていただきたく

そんな切なる願いをこめて記してゆきます。

 

最初に、保護犬だったというエマさんの、印象から記してゆきます。

ここでいう印象とは、お預かりした写真からリーデイングする際、

繋がってすぐに、流れてきた情報のことを指します。

**********************************************

とても可愛らしく 温和で大人しい 怖がり 自分に自信がない

自分をストレートに出せない いつも得体のしれない不安をかかえている

ほぼ野犬だったとおもわれる子犬時代 その子犬時代に大人犬から聞いた

色々なことが 得体のしれない不安に大きく影響している 

深いトラウマを抱えている 自分を救って愛情をかけてくれた
お母さんのSさんに 深く感謝している

***********************************************

私は当初保護犬としか聞いていなかったのですが、この印象だけで

彼女の身にどんな大変なことがあったのだろうと思いました。

温和で可愛らしい、
エマさんの写真に話しかけてみます。

「お母さんから頼まれてあなたとお話ししにきたけれど、

気持ち聞かせてくれますか?」

するとちょっと喜んで、尾をチラチラ振ってくれましたが、

すぐに不安そうな表情に変わり、ソワソワし始めたのです。

 

その様子を見ていた私は、自然とこう言いたくなりました。

「もう大丈夫、誰もあなたをどこかに連れていったりしない。

だから安心してちょうだい」

そう言ってもまだまだ不安そうなので、

お母さんには、毎日こう言ってもらうといいと提案してみました。

「エマのことは、ママとお兄ちゃんが一生守り通すよ。

だからもう怖くないよ!安心して過ごしてちょうだい!」


少し落ち着いてきたようなので、質問をしてみることにしました。

「エマちゃんは、何で吠えないか教えてくれますか?」

「だって吠えるのは怖いの。怒られるし、自分の存在を知られて

しまうことに繋がるから。吠えるくらいなら、我慢するか

逃げちゃう方がいいの」


「どうして、そんなんに怖いか教えてくれる?」

すると、黙って口をつぐみ下を向いてしまった。

 

その姿をじっと見ていると、エマさんの背後に

かつて居た所の風景がみえてきた。

 

たくさんの犬たちが外に居る(50頭以上という感じ)。

捕まって、檻のようなケージのような所にいる犬たちもいる

エマさんや他の犬は(まだ完全に大人になっていない)

穴を掘ってそこに潜んだりしているが、次々

捕まっていく。逃げ回る姿、人に追いかけられる

大きな声、大人犬たちの吠え声、悲鳴。

人に追いかけられ怒られる=吠えることで、もっと怖いことがおきる

エマさんの中では、幼少期にずっと見聞きした、こんな強烈な体験から
​すっかり、そういう図式になっている。

弱い立場だったエマさんは、自分の身を守るために

逃げ回り、声を出さず静かにしていれば捕まらない(=怖い思いをしない)

と考えるようになったのです。

 

セッション当日、実物のエマさんに会い、

Sさんから話を聞いて知ったのですが…

(セッションしているうちに、薄々そうではないかと思っていたのですが)

エマさんの居た所は、過去にテレビなどでも取り上げられ

終息するまで何年もかかった、大規模な崩壊現場でした。

 

その崩壊現場から迎えた大人のM君という犬を皮切りに

私はご縁があって、その崩壊現場のワンちゃんたちと

たくさんセッションをしてきたのでした。

 

近隣住民からの苦情等もあって、そこは行政が立ち入って

一時行政の管理下にありました。

 

大人の女の子たちは、これ以上妊娠しないよう

黄体ホルモンを打たれ、小さなケージに押し込められていました。

冬は零下にもなる地に、スノコを引いただけの外のケージで、
多くの犬たちが
耐えていたのです。

 

大人の男の子たちや、勇ましい犬はもっと

酷い状態の場所に、吠え声がうるさいからと隔離されていました。
 

後に民間の団体や勇気ある人たちが立ち上がって、
犬たちの救済、里親探しをするのですが、

当初の何年間も、そういう酷い状態を余儀なくされていたのです。

 

まだ若かったエマさんは、最後の方まで捕まらない犬だったと聞きました。

 

犬から見て、酷い扱いを受けている大人犬の二の舞にならないよう

エマさんたちは逃げ回り、穴を掘った地面や草の中に潜んでいたのです。

 

そんなエマさんの過去のトラウマを聞きながら、
Sさんはずっと涙ぐんでいました。

自分がこうではないかと想像していたこと、

私が説明することが、ピタリと一致していたからと。


「やっぱり思っていた通りだった。でも知れて良かったです」と

エマさんを撫ぜて、何度もそう言っていました。

 


​私も目の前にいる、この可憐な犬に
​私たち人間は、なんてことをしてしまったのだろと思うにつけ
なんともいえない気持ちになっていたのです。

でもエマさんが最後に言ってくれたこと…

そのことに、私はかえって救われたものです。

 

あらためて、どうぶつは、どうしてこんなに優しいのかと

思います。

 

「お母さん、お母さん、(ずっとお礼を言いたかった)

私のお母さんになってくれて、ありがとう!

もうどこにも行かなくていいって知って、私はずいぶん安心したの」

 

 

  • 2017.01.23 Monday
  • 21:42